スキンタイトニング

文責　代々木美容皮膚科院長
医師、医学博士　勇内山大介　　
2025.10.29更新

BBL HEROの波長と出力を調整することで、肌の弾力やハリを回復させる非侵襲的な美容施術です。

昨今、美容医療を受けるハードルが下がっており、多くの美容クリニックが林立しています。
一方で患者様のご不満、クレームが一定数生じています。主に手術(フェイスリフト、整形、脱脂、糸リフトなど)やヒアルロン酸注入の現場で多いです。
これは、形を変える作業であるため、力加減に正解がないからです。無理をした結果、必ず歪みが生じます。

しかしどなたも実は正解をご存じであると我々は考えています。それは若い時のご自身のお顔です。

BBL HEROによるスキンタイトニングでは真皮の若返りと同時に細胞の若返りを行うため、時計の針を戻すような治療効果をご期待頂けます。
またBBLによるスキンタイトニングの温度目標（40-42℃）を用いたアジア人データでは、800nmを含む複数設定のいずれでも、頬・口元・マリオネットラインなどの改善が観察されています(3)。

■効果
・たるみの改善：皮膚の深部に熱を加えることで、肌のたるみを引き締めます。
・小じわの改善：コラーゲンの生成を促進し、小しわを目立たなくします。
・肌のキメを整える：毛穴の開きを改善し、肌の表面を滑らかにし、キメを整えます。
・非侵襲的：切開や注射を伴わないため、ダウンタイムがほとんどありません。

■当院のスキンタイトニングの特徴
800nmフィルターを用いてお肌の表面温度が41～42℃になるまで上げていきます。
一般的にお顔全体で15000～20000J程度の熱量を入れるクリニックが多いです。
当院では表面温度が目標に達した後、出力を下げて温度をキープする時間を設けています。
総じて55000～65000J(お顔のサイズによる)の熱量を照射する効果的なリフトアップを目指しています。
首の施術は別料金を設定しているクリニックが殆どですが、首の治療によってフェイスラインの仕上がりが良くなるため、当院ではお顔の治療のお値段で首も同時に治療しております。
眉下にも光を当てることができ、まぶたのパッチリ感が改善します。

■従来機種と最新機種との違い
温度キープを伴うスキンタイトニングは従来機種のBBLsではフラッシュランプの冷却能力に限界があったために不可能であった治療方法であり、BBL HEROの大きな特徴とされています。
また2025年10月現在で日本に2台のみ存在する最新機種のBBL HEROicでは、蓄熱量がオートマチックに計算されており、均一な熱量をお肌に与えていく一方で、温度が上がりにくい領域に熱を多めに入れることが不可能、温度が上がりやすい領域に合わせて蓄熱していく設定となっています。そのため、温度が上がりにくい領域の仕上がりが悪くなるという問題があります。
この点において、BBL HEROによるスキンタイトニングは術者の能力を問うマニュアル的な治療ではありますが、より効果的な結果を期待できます。

■マルチパススキンタイトニングについて
800nmフィルターのスキンタイトニングの後に695nmフィルターと590nmフィルターのスキンタイトニングを追加するマルチパススキンタイトニングでは、それぞれ異なる真皮層の治療が可能であり、通常のスキンタイトニングよりも効果的にリフトアップを行うことが可能です。
695nm/590nmフィルターの追加照射では色調（赤み・しみ）や質感（テクスチャ）といったフォトエイジングの他要素を標的にし、Global Aesthetic Improvement Scale(GAIS: 美容医療における患者の見た目の改善度に使用される尺度）を底上げします。
695nmフィルターは中〜長波長の近赤外を多く含むため、800nmに近い深部加熱を補助しつつ、ヘモグロビン吸収も一定程度確保できます。BBLでの 800nmフィルター(単発打ち)+695nmフィルターの併用群は、800nmフィルター単独群と同等のGAIS中央値を示し（2）、症例写真でもほうれい線・マリオネットライン・頬溝の改善が提示されています（3）
590nmはメラニン/ヘモグロビンの吸収が高く、しみ・赤み・毛細血管拡張などフォトエイジングの可視的要素を改善します。無作為試験でもテクスチャ・血管/色素病変の有意改善が示されました（4）。
豚皮膚モデルでは590nmで術後21-42日I型プロコラーゲン増加が確認され、二重照射の有意上乗せは限定的ながら、エネルギー増加で効果増大が示唆されています（6）。そのため590nmは温度キープなしの追加周回でも、色調・微小炎症の是正を通じて全体の若返り指標を押し上げうる合理性があります（4,5）。
BBLは長期・反復照射で、老化関連遺伝子発現の若年化を示すパイロット研究があります（7）。800nmフィルターでたるみのみをターゲットとするよりもマルチパススキンタイトニングによって色・質・ハリの改善をトータルで目指すことで、より効果的な臨床的なアウトカムに加え、細胞の若年化を促すことが期待できます。
現状、800nm単独 vs 800+695+590（3周）でタイトニング“のみ”の優越を直接比較した高品質なランダム化比較試験は乏しい一方、複数フィルター/マルチパスにより色調・質感も同時に最適化することで、患者の見た目評価（GAIS/満足度）を押し上げる方向性は、BBLの実臨床研究やレビューと整合すると考えています（1,8）。
なお695nm, 590nm波長のスキンタイトニングは800nm波長の光と比べてまぶしさが強いため、安全のために眉下照射は省略させて頂いております。

■通院イメージ
・1ヶ月おきに2～3回
・効果が安定したら2ヶ月～3ヶ月おきに延長
・即効性もあるため、ご自身の大切なご予定の前に受けて頂くのもおすすめです。


■こんな方におすすめ
・顔や首のたるみが気になる方
・小じわが気になる方
・手術や強い刺激を避けたい方
・若々しい肌の弾力を回復させたい方


References
1. Dams SD, de Liefde-van Beest M, Nuijs AM, et al. Pulsed heat shocks enhance procollagen type I and procollagen type III expression in human dermal fibroblasts. Skin Res Technol. 2010(16);354-364.
2. Mayes AE, Holyoak CD. Repeat mild heat shock increases dermal fibroblast activity and collagen production. Rejuvenation Res. 2008(11);461-465.
3. In S, Park H, Kang K, et al. Broadband light treatment using static operation and constant motion techniques for skin tightening in Asian patients. J Cosmet Laser Ther. 2019(21);132-137.
4. Hedelund L, Due E, Bjerring P, et al. Skin Rejuvenation Using Intense Pulsed Light: A Randomized Controlled Split-Face Trial With Blinded Response Evaluation. Arch Dermatol. 2006(142);985-990.
5. Husain Z, Alster TS. The role of lasers and intense pulsed light technology in dermatology. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2016(9);29-40.
6. Iyer S, Carranza D, Kolodney M, et al. Evaluation of procollagen I deposition after intense pulsed light treatments at varying parameters in a porcine model. J Cosmet Laser Ther. 2007(9);75-78.
7. Iyer S, Carranza D, Kolodney M, et al. Evaluation of procollagen I deposition after intense pulsed light treatments at varying parameters in a porcine model. J Cosmet Laser Ther. 2007(9);75-7.Chang ALS, Bitter PH, Qu K, et al. Rejuvenation of gene expression pattern of aged human skin by broadband light treatment: A pilot study. J Invest Dermatol. 2013(133);394-402.
8. Tanaka Y, Tsunemi Y, Kawashima M, et al. Objective assessment of skin tightening in Asians using a water-filtered near-infrared (1,000–1,800 nm) device with contact-cooling and freezer-stored gel. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2013(6);167-176.