代々木美容皮膚科カスタマイズ治療

文責
代々木美容皮膚科院長　勇内山大介
2025年11月5日更新

代々木美容皮膚科カスタマイズ治療の趣旨
☑BBL HEROは選択的光熱融解の原理に基づき、表在性〜中等度深達の色素病変とびまん性の色調ムラを安全に短時間で改善します。
☑しかし、VISIAの紫外線シミ画像で「薄く」表示される深在性の基底層優位メラニンや、表皮乳頭の延長を伴う老人性色素斑の一部では到達エネルギーが不足し得ます。
☑当院はその限界を補うため、Gentlemax Pro Plus を用いた755 nmアレキサンドライトレーザーをスポット追加照射するカスタマイズ治療のご提供を開始いたしました。

背景
1) 皮膚光学とVISIA所見の解釈
皮膚内の光は、波長が長いほど吸収は相対的に減少し、散乱の影響も小さくなるため深達度が増します(1)。同一フルエンスではスポット径が大きいほど側方散乱損失が減り、実効深達が増すことも計算・実測で示されています(2)。一方、VISIAの紫外線シミ画像（主に365 nm）撮像はメラニンによる紫外線の強い減衰を利用して「不可視のシミ」を強調します。紫外線シミ画像で濃く見える部位は浅層メラニンの強い減衰を反映し、薄く見える斑でも深部にメラニンが分布すれば可視化されにくいことがあります。つまり濃淡＝深さの単純対応ではないのです(3, 4)。このため、紫外線シミ画像で淡い陰影が残る＝「深部主体」の可能性があるという臨床実感は、皮膚光学の原理と整合します(1, 3)。これは選択的光熱融解(5)、波長・散乱依存性(1)、紫外線減衰の根拠(3)を総合した、院長による作業仮説です。

2) 老人性色素斑の病理学的多様性
顔面の老人性色素斑（solar lentigo: SL）は、基底層メラニン化が主体の「扁平型」と、表皮乳頭（rete ridge）の延長と基底層濃染を伴う「芽出し：budding型」に大別されます(6)。定量的研究でも、顔面SLはメラニン量・表皮面積増加を示しますが、症例により乳頭延長の程度は変動します(5)。したがって、輪郭が鮮明な斑でも、構造が“深く”延長していることがあり、光の深達度と吸収特性が治療効果を規定します(1, 6, 7)。

3) BBL HEROの強みと限界の整理
BBL HEROでは広帯域光をカットオフフィルターで選択し、表在性色素（515–590 nm帯）からやや深部（640–695 nm帯）までびまん性の色調ムラや複合病変を短時間・低ダウンタイムで同時改善できるのが最大の利点です(8, 9)。当院では640nm波長と532nmフィルター(実行幅500nm-650nm)のforever young BBL HERO+による設定でそれぞれ2パスすることで、より高い色調ムラの改善を目指しています。ただし、表皮基底層の深部側や乳頭の深い延長先に優位なメラニン、あるいは高メラニン表皮の表層バリアによって安全域内フルエンスが頭打ちになる場合、深部での実効フルエンス不足が生じ得ます。695 nmフィルターでもスペクトルは単一波長ではないため、表層吸収と散乱の影響を完全には避けられません(1, 8)。この「深部不足」は、VISIAで淡く残存する斑や、640/695 nmのハイフルエンス、短パルス幅によるスポットでも反応が鈍い症例で臨床的に観察されます。 この弱点を補うことができるのが755nmアレキサンドライトレーザーによる治療です。

4) 一般論としての治療順序
光・レーザー治療では深い方から、すなわち波長が長いものから順に使うことが慣習的に行われています。組織中に多数の波長の光・レーザーが影響を及ぼすことを避けるためです。しかし深部に安全に治療閾値超えのエネルギーを届けられることが前提であり(5)、表層の吸収・散乱が強い場合、いきなり755 nmを広域に当てると出力上限が表皮安全域で頭打ちとなり、深部は閾値未満に留まり得ます。BBL HEROで表在のシミ・赤みを治療することでメラニン分布の均質化や浅在血管の過剰寄与低減し、狙点を限定した上で755 nmを重ねると、線量分布としては深部優先を同等以上に達成できます(1, 10)。従って、浅層の吸収・散乱が深部到達を制限する場合は、BBL HEROで安全域を整えた上で、755 nmで深部標的化という例外順序が光学・病理・臨床の三点で合理的です(1, 4, 5, 11-14)。

治療内容のご紹介（当院カスタマイズ：BBL HERO＋755 nm追加）
ステップ1：全顔の光治療（BBL HERO）
• 目的：表在性〜中等度深達のシミ・赤み・くすみ・そばかすを包括的に整えます。
• 原理：選択的光熱融解に基づき、短パルス/マルチパルスで表皮メラニンと浅在血管を治療します(5, 8)。その後に拡張血管や雀卵斑、シミの深さに合わせたスポット治療を追加照射します。
• 長所：広範囲・短時間、ダウンタイムが短い、色素と血管治療の同時性、テクスチャの横断的改善を目指します(8,9)。
• 限界：高メラニン表皮では安全域確保のため出力上限に達しやすく、深部基底層〜乳頭延長先のメラニンに対する到達が不足し得ます(1, 8)。
ステップ2：残存病変へのスポット追加（Gentlemax Pro Plus：755 nm）
• 適応選択：
1. VISIAの紫外線シミ画像で薄く残る点状〜地図状のシミ陰影（深部主体を示唆）。
2. 輪郭明瞭で、病理学的に乳頭延長を想起させる斑状影（budding型を示唆）(3, 6)。
• 大スポットにより散乱損失を抑え、755 nmの深達とメラニン吸収のバランスで基底層〜乳頭先端への実効フルエンスを確保します(1, 2, 11, 13, 15)。
• 長所：
1. 単一波長・大スポットによる深部到達性の効率化を図ります(1, 2)。
2. 動的冷却装置（Dynamic Cooling Device: DCD）で表皮を選択的に保護しつつ高フルエンスの治療が許容されます(11, 15)。
3. 長パルス755 nmの老人性色素斑クリアランスは臨床的有効性が示されています(13)。

治療に関する注意点
肌治療に関して大切なことは、漫然とアレキサンドライトレーザーを打つことではなく、あくまで色素病変の深さに合わせて治療を行う層別皮膚治療を完遂することです。そのためには同一施設、同一責任者、可能であれば代々木美容皮膚科のように同一医師が一貫して治療を行うべきです。その理由としては5点挙げられます。
1. 線量学の連続性：BBL HEROの設定、反応（黒化・微細痂皮・紅斑の時間経過）、VISIAの差分マップを同一評価系で解釈し、755 nmのスポット・フルエンス・パルス幅・DCD条件を最適化します。積算エネルギーと反応履歴を一元管理できることが、安全域と再現性の鍵です(5, 8, 11, 15)。
2. 機器校正とビーム品質：同一機での出力校正・スポット実効径・ビームプロファイル管理は、深部到達と表皮保護のトレードオフに直結します(1, 2)。施設間で異なる機器・チップ状態・冷却系では、同じ数値でも実効線量が一致しません。
3. 画像ガイド下治療の最適化：BBL前後のVISIA（UV/クロス偏光）を同条件で撮像し、淡い残存＝深部示唆領域とbudding型を示唆する輪郭を同一評価者が読み解いたうえで、狙い撃ちの755 nm照射を行います(3, 4)。
4. 適応判断：BBL HEROと755 nmアレキサンドライトレーザーの併用は強力な治療であり、慎重な適応判断と場合によっては経過観察が必要です。そのため、同一責任者が即時にプロトコル変更できる体制が安全です(8, 11, 15)。
5. 治療深度の微調整：モンテカルロ解析では、ビーム幅を拡大すると1–3 mm深でのフルエンスが増し、10 mm以上で無限大ビームに近づくと示されます(2)。ポートワイン母斑モデルでもスポット径を拡大すると表皮より深部の吸収比が上がるとされ(16)、臨床的にも755 nmの脱毛で18 mmは12 mmより有効でした(17)。従ってGentlemax Pro Plusにおける15–24 mm大スポットは、深達効率の微調整が可能であり、その幅も大きいです。

最後に
代々木美容皮膚科カスタマイズ治療のご紹介をさせて頂きました。皆様のご予約をお待ちしております。カウンセリングのみでも結構でございますので、一度足をお運び頂けましたら幸甚です。

References
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